2014.06.27

【ファイナリストのその後】垣内俊哉さん

みんなの夢ＡＷＡＲＤ３最優秀賞受賞後の歩み
ミライロ株式会社代表取締役社長　垣内俊哉さん

 

ユニバーサルデザインの普及で、
当たり前にできることを増やしたい

車椅子に乗っているからこそ見えるもの

　生まれつき「骨形成不全症」という骨が弱く折れやすい病気を抱え、車椅子を利用している垣内さん。10代の頃は自らの障害を否定し、なんとか歩けるようになりたいと思っていたそう。しかし、ある時を境に、障害を持って産まれ車椅子に乗っているからこそ得られる気づきがあると考えるようになりました。現在23歳の垣内さんは「日本をユニバーサルデザイン先進国にすること」を自身の夢として実現させると語り、多くの参加者の心に訴えかける素晴らしいプレゼンを行いました。その結果、「みんなの夢AWARD３」の最優秀賞を受賞。ユニバーサルデザインを広めるべく、現在も精力的に活動を続けています。

障害をバリューにする

　「ユニバーサルデザインな社会が実現すれば、障害を持つ方とその家族や友人たちが、移動に不安を抱えることなく行きたい場所へ行き、学びたい場所で学ぶという当たり前のことが当たり前にできる社会が実現するはず」と垣内さんは語ります。2010年に友人と株式会社ミライロを設立して以来、垣内さんならではの視点や経験、感性を生かして活動を広げ、バリア（障害）をフリー（取り除く）にするだけでなく、バリアをバリュー（価値）とするという考えにたどりつきました。現在は、バリアバリューの視点から、ユニバーサルデザインに取り組む方へのコンサルティング、高齢者や障害のあるお客様への接客に関する研修、障害児に向けた家庭教育を提供し、障害のあるスタッフ３名も雇用しています。

 

　垣内さんがみんなの夢ＡＷＡＲＤ３で目指したのは、障害のある学生への教育や就労支援や関東への事業拡大に力を貸してくれるパートナー企業の獲得。垣内さんの夢への支援を表明したのは、アサヒビール様、大和ハウス工業様、エイチ・アイ・エス様。受賞後は、賞金である2000万円の使い道や具体的なサポートに関しての会議、渡邉との面談が行われました。3期目に入るミライロのバランスシートをチェックしながらその事業計画について質問をする渡邉に、 素早くクリアな受け答えをする垣内さん。その計画性と順調に売り上げを延ばしている経営手腕は、「本当に完成度の高い事業だね。素晴らしい」と渡邉からの評価も高いものでした。

　実は、垣内さんは「障害者も、その特性を活かせばいろいろなことができるようになる。大切なのは、義務的な雇用ではなく、知識を持って雇用や訓練をすること。 ハード面も同様に、障害者の目から見て本当に使いやすいものを増やしていきたい。 2000万円の使い道を考えましたが、私たちの事業では特に大きなお金が必要なことはありません。だからこそ、今回はユニバーサルデザインを広めるためにワタミさんに協力してもらい、2000万円分の仕事をいただきたい」と、最優秀賞受賞者への賞金である2000万円を受け取りませんでした。

夢に向けた３つのリクエスト

　スタートアップ事業者の多くが資金援助を必要としているのに対し、垣内さんが求めたのは、経営アドバイスと事業 PR の協力、そして、ワタミグループからの仕事の依頼。資金の代わりに垣内さんは３つの提案をしました。ひとつ目は「夢宣言」。これは、渡邉とともに全国で公演し、本当のバリアフリーを考えるきっかけを提供したいというもの。ふたつ目は「夢共有」。自分の人生や、ミライロの取り組む問題に関しての書籍を出版したいというもの。３つ目は「夢実現」ワタミの介護などの施設においてミライロの視点からプロデユースしたモデル店舗をひとつつくりたいというものです。この提案を受けた渡邉は、「未来へのビジョンがはっきりしていて感心するばかり。３つの提案は、すべて形にしていきましょう」と、講演や書籍、そしてバリアフリーモデル店舗づくりへの取り組みなどを通してサポートすることを約束しました。

　ワタミグループは実際に、来年の５月にオープンする老人ホーム「レストヴィラ羽田」において、ミライロにユニバーサルデザインのトータルコーディネイトを依頼しています。険しい道をゆくうえで、実績ができるというのは、大きな意味を持つこと。垣内さんの挑戦に今後も目が離せません。

 

プロフィール

垣内 俊哉

所属：ミライロ 代表取締役社長
活動拠点：大阪府大阪市
URL：http://www.mirairo.co.jp/
Blog：http://www.mirairo.co.jp/wordpress/
Facebook：http://facebook.com/tkakiuchi

 

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