高校生みんなの夢AWARD 開催レポート

「夢」を持った高校生が全国から集結!

2010年にスタートした『みんなの夢AWARD』は、夢を追いかける起業家を応援し、サポートし続けています。
そして今年その裾野を広げ、社会を知り、問題を見つけ、それをそれをビジネスで解決する力を身につける高校生を応援するため、「高校生みんなの夢AWARD」を立ち上げました。

8月12日(水)今年は、オンライン上での開催となった『高校生みんなの夢AWARD』。審査会場には、審査委員5名が集まりました。

審査委員長
渡邉 美樹さん(ワタミ株式会社 代表取締役会長 兼 グループ CEO)

審査委員
渡邊 智惠子さん(株式会社アバンティ 代表取締役会長)
泉 敬介さん(税理士法人横浜総合事務所 CEO)
片山 ます江さん(社会福祉法人伸こう福祉会 執行役員)
清水 邦晃さん(ワタミ株式会社 代表取締役社長 兼 COO)

起業家の先輩でもあり、夢を持った起業家へのサポートを続けてきた方々です。

参加する高校生は、弊会講師による講義やオンライン版「ソーシャルビジネス学習プログラム」を通じて、社会課題について知り、探究し、ビジネスを通じて解決に導くプロセスを学習します。
「ソーシャルビジネス学習プログラム」は、ソーシャルビジネスについて学ぶ意義から、それを解決するためのビジネスプランの作り方まで、系統立てて学ぶことのできるオンラインプログラムです。
本大会には、全11本(計120分)の本プログラムを受講していただいた中から、10組のファイナリストが集まりました。

Fusion2
加藤 駿之介 さん
学校法人文理佐藤学園
西武学園文理高等学校 2年

最初のプレゼンターとなる加藤さんは、3Dプリンタを使った家具を製造・販売し、サブスクリプションサービスを通じて再利用まで行うビジネスプランを発表してくれました。
20年後、世界中での流通まで目を向けた長期事業プランを計画しています。

渡邉審査委員長からは、コストカットの方法や技術に関する事業に踏み込んだ質問がありました。

殺処分ゼロを目指して
〜人と動物の共存のために〜
鈴木 七海さん
学校法人郁文館夢学園 郁文館高等学校 3年

自身も愛犬と暮らす鈴木さんは、小学生の時に読んだ本で衝撃を受け、犬・猫の殺処分をなくすためのビジネスプランを発表。マンション住まいが多い現代で最も問題とされているペットの躾の部分を担い、犬や猫が幸せに暮らせるための事業を計画しました。

片山審査委員からは、獣医へのヒアリングを行うと良いのでは、というアドバイスがありました。

東日本大震災の学びを未来に生かす
スタディツアー
増田 伊芙希さん
学校法人郁文館夢学園 郁文館高等学校 3年


将来、教師を目指している増田さんは、東日本大震災の経験を綴った本を読み、自身も陸前高田市を訪れたことをきっかけに、学校と連携して被災地を訪れるスタディツアーのビジネスプランを発表しました。
復興支援金の減額や観光客減少により未だ復興途中にある被災地と、学校指導要領の改定により新たな時代の学びを必要とする学校を繋げる、様々な社会課題の解決につながる事業プランを計画しています。

清水審査委員からも、SDGsのいくつものテーマを解決に導く良いプランで、起業するにあたり大事な視点である利益率も良い、ぜひ実現して欲しいプラン、とのご意見をいただきました。

Gender Equity
上甲 真里花 さん
学校法人福原学園 自由ヶ丘高等学校 2年

上甲さんは、社会に影響力を持つ女性起業家の育成プログラムを事業化。オンライン・オフラインでのプログラム展開で、起業を考える女性が最初のハードル低く取り組める事業を発表しました。自身のライフプランも交え、将来的には日本のジェンダー問題を解決を目指しています。

女性起業家の大先輩でもある渡邊智惠子審査委員からも、ビジネスプランに大いに賛同いただき、女性活躍が進むスウェーデンを参考にするなど、国際的な視点を持つと良い、というアドバイスもいただきました。

笑顔が集まる場所「おらほの家」
千田 麻夏 さん
岩手県立 高田高等学校 2年


高齢化、共働きが進む日本で問題視されている「孤食」をテーマにビジネスプランを立ち上げた千田さん。
「おらほの家」(=方言で「わたしたちの家」の意味)で、高齢者と子どもが共に食事をし、遊びを通じて文化の継承につながるプランを発表しました。高齢化、食品ロス、高齢者の認知症予防にもつながるビジネスプランで、みんなが笑顔になれる場所づくりを提案しました。

「食」の事業に自らも取り組む渡邉審査委員長からも、良いプレゼンでした!とお褒めの言葉もいただき、資金計画へのアドバイスもいただきました。

ぬくもりあふれる知育おもちゃ
~子どもをはぐくむ気仙杉~
萩原 風季 さん
岩手県立 高田高等学校 2年

これからますます進むAIの時代に向けて、幼少期から自身の発想力・思考力・想像力を鍛えることが必要と感じた萩原さんは、知育おもちゃの開発をビジネスプランにしました。木でできた知育おもちゃに、気仙地区をイメージできるイラストなどを施し、地元の魅力発信にもつなげます。


泉審査委員からは、木のおもちゃは価格が高くなってしまうことへの懸念や、開発にあたる人件費の部分など、資金面での質問とアドバイスがありました。

Let’s work in Japan プロジェクト
石川 夏南海 さん
学校法人東洋女子学園 東洋女子高等学校 3年

石川さんは、自身の海外留学の経験から、外国人が日本でより働きやすい環境をつくるためのビジネスプランを提案しました。
日本語を学ぶオンラインプログラム、日本の子どもへの外国文化理解の促進プログラム、就職の斡旋事業を通じて、日本で働く外国人を増やし、日本人の異文化理解を深める事業プランを発表。


片山審査委員からは、自身の団体での異文化交流の実績も踏まえたアドバイスをいただくとともに、人に見てもらうことを意識したプレゼン資料の作り方にも評価をいただきました。

国内海外留学
『ワラビスタン異文化体験プロジェクト』
阿部 裕太 さん
埼玉県立 鳩ヶ谷高等学校 3年


地元埼玉県蕨地区の住民(=ワラビスタン)と、蕨地区に多数居住しているクルド人との異文化体験を事業化した阿部さん。
日本にいながら海外の文化を知り、さらに職に不安を感じている在日クルド人の方々の安定にもつなげ、また、withコロナ期を迎える今の情勢にもあったビジネスプランを提案しました。


渡邊智惠子審査委員からは、顧客を増やすための第一歩として、クルド人の文化とはどういうものなのか、発信することが必要、とのアドバイスをいただきました。

「Future」
村上 智紀 さん
学校法人清風学園 清風高等学校 1年

不登校の友人がいたことをきっかけに「Future」のビジネスプランを立ち上げた村上さん。アバターを使ってVR上での学習コンテンツを受け社会との繋がりをつくり、ARを使った運動プログラムに参加し、ステップを踏んで、最終的に実際に登校できることまでを目指すプランを発表しました。


泉審査委員からは、様々な不登校の原因を調査し、たくさんの方が参加できるプログラムに発展すると素晴らしいですね、と賛同の言葉をいただきました。また、村上さんの明るい人柄にもお褒めの言葉をいただきました。

アロマオイルを使った篠栗町地域
活性化のためのビジネスプラン
深田 明日希 さん
福岡県立 香椎高等学校 3年


地元篠栗町に特産品が少ないことに目をつけた深田さんは、篠栗町に多数植えられている杉を使ったアロマオイルを開発するビジネスプランを提案しました。
杉のアロマオイルには、花粉症緩和やリラックス効果など、老若男女に使いやすい効能があり、篠栗町独自の特産品として育てていくプランを発表。3〜5年をかけた計画で、事業の黒字化を目指しています。


清水審査委員からは、深田さんが販路として計画する「ふるさと納税の返礼品」以外の販路への質問とアドバイスをいただきました。

10組それぞれが、自身の経験を元に、様々な視点から社会問題の解決につながるビジネスプランを発表しました。
改めて、グランプリを受賞した増田さん、準グランプリの村上さん、おめでとうございます。

経営という技術で「夢」をかなえる起業家がたくさん生まれることを目指して

最後に、渡邉審査委員長からの総評では、今回参加いただいた10組のファイナリスト、そして全国から応募いただいた全ての方への感謝が改めて伝えられました。
そして、社会課題を発見し、その解決に向かう途中では、調べ・仮説を立て・検証していく、そのプロセスが重要で、高校生のみなさんへはこれからもまだまだ勉強していってほしいこと。
今回ソーシャルビジネス学習プログラムを通じて学んだ、経営という”技術”を使って、夢を叶えていって欲しいことがファイナリストへ伝えられました。

高校生が起業を考えることが当たり前となる社会を目指して、これからもみんなの夢をかなえる会は活動を続けていきます。